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イベント

2019年8月30日 (金)

2019年8月25日(日)種をまくプロジェクト&トーク 1995ー2005関西アートシーン ゲスト小吹隆文

茶ろん坪六で行った個展「よそもんの花」のクロージングイベントとして

種をまくプロジェクト上映会とトークを開催しました。

 

安田は2007年3月まで滋賀県に住んでいたので、会場には友人・知人が25人ほど集まってくれました。😃

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2001〜2005年に実施した種をまくプロジェクトの上映会の様子。

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坪六さんはお茶専門店でもあるので、三種類のお菓子と冷茶をいただき、

参加者同士しばし歓談。

そして【関西1995-2005アートシーン】ゲストは関西で長年アートライターとして活躍されている小吹隆文 さん。
安田が貸し画廊で個展をしている頃からの知人です。

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  • 小吹 映像を見て、まず記録の重要性を感じました。画廊以外の場所で作品を発表するという小さい動きはいろいろ当時もあったけれど、記録をとって見せやすい形にして、見せるということをやっていない。それをバイリンガルも意識していて、初期からやっていたのが「具体美術協会」。他のグループは作って終わりか、かろうじてポスターが残っているぐらいのものが多い。
  • 安田 種をまくプロジェクト以外の実物作品は、捨ててしまってほとんど残ってないですよ。 
  • 小吹 インスタレーションだからですよ。去年80年代展をやっていて、インスタレーションの作家は作品がほとんどなく、あっても部分だけとか写真だけを展示していました。種プロが5年で終了したのはなぜですか? 
  • 安田 長年続く団体を形成すると、団体を維持することだけに注力してしまって、在野であるとか、当初の目的を忘れてしまうと思っています。
  • 小吹 その通りですね。
  • 安田 94年ぐらいから貸画廊で個展をするようになりました。わたしは搾取されたくないと思って、別の方法を模索したのですが。
  • 小吹 90年代初期は貸画廊しか選択肢はなかった。美大の先生が学生に画廊を紹介して展覧会をやるという形で形骸化している部分があったけれど、最初の70年代の貸画廊は、もっとラディカルで、実験的で、借りれば好きなことができる場所だった。僕はその部分で貸画廊制度はよいと思っています。
  • 安田 もちろんそこに異論はありません。しかしわたしは既存の制度から別の発表形態を模索して97年にシールの作品を美術関係者に送るとか、自宅で展覧会を開くなどの方法を実行しました。今ではアーティスト・ラン・スペース(アーティストが運営する発表の場所)と言って一般的になっていますが、その頃はあまりなかった。 そして、そこから種をまくプロジェクトになっていきました。
  • 詫摩 自宅展は小吹さんが雑誌「ぴあ」に掲載してくれて、それで、自宅に全く知らない人が来ることになった。3週間無休で開催しました。昨日8月24日は名古屋でイベントを実施したが、当時の自宅展に来たという人が来てくれて、その頃は珍しい企画だったと言って、当時のチラシなどを保管したものを見せてくれました。
  • 安田 自宅展は、その前に岡山で自由工場をやっていた京都市立芸術大学の井上明彦さん、神戸芸術工科大学の森下明彦さん、などがこられました。当時は外でやることがまだ少なかったので注目されました。わたしは95年にワタリウムであった「水の波紋」の審査でゲント市美術館館長のヤン・フートに会った時、知り合った東恩納裕一さんがスタジオショウをしているという話を聞いて、自宅展を開催しました。
  • 小吹 2000年代の終わりぐらいに、京都で作家がグループでスタジオを借りて、展覧会をするのが流行した時期があった。安田さんは個展形式も並行して続けていたんですか?
  • 安田 いえ、やってないですね。周囲がコンセプチュアルな作家だったので、個人名かグループでやるのかはっきりさせなくてはいけないと思って、個人名の個展の資料はHPから消してやってきました。芽が出るプロジェクトを10年やった後、2018年の個展の前に復活させました。
  • 小吹 「関係性の美学」(コミュニケーション自体を作品とすること)そのものは90年代初めからありましたが、注目されだしたのは2000年代以降から。そう思うと、安田さんのコミュニケーションをテーマにしたプロジェクトは先駆的ですね。
  • 安田 ありがとうございます。基本的に交歓による見えない彫刻を構築していて、風船を飛ばすイベントを年一回以上するという以外、何をしてもよいと決めていたので、他者の力を借りることで広がりが持てたと思っています。
  • 詫摩 西前くんも3回目にかなり手伝ってくれましたね。
  • 西前 そうですね。公立文化施設に勤務していましたが、個人としてできることをやりました。少しづつ広がって来た個が公と近くなってくる感じが興味深いです。
  • 小吹 そんな安田さんが、今回の個展では油絵ということで、驚きました。DMの絵を見て何かのセットかと思いました。2006年に亡くなった画家の館勝生さんがずっと同じような作品を描いていたけど、実は年によって少しづつ違うんですね。安田さんの場合は切り替わりがすごい。この思い切りの良さはなんですか?
  • 安田 画廊ではインスタレーションの展示だけだったので、小吹さんは初めてわたしの油絵をご覧になったと思います。学生時代の恩師である村岡三郎は鉄の作家と言われていて、周りは鉄の作家で巨大な作品でした。その中でわたしは、自分でも持てるぐらいの軽さでボリュームを出せる紙のようなもので、身体性や女性性を生かしたいとは思っていますが、素材や手法を決めつけられたくないと思って色々な材料・手法を使っています。
  • 小吹 なるほど、美術って一言で言い表せないと思ってたんですが、美術評論家の加藤義夫氏とイベントで一緒になった時にそれじゃだめだと言われて、その後「価値観を広げていくもの」と言うようになったんですよ。
  • 安田 先週、美術教育学会があって、「ゴールポストギリギリを狙う」という話が出てまして、真ん中を狙う人もいれば、わざと外す人もいますから、なにが正解かは言えませんが、可能性を引き出したり、既存の価値観をひろげるというのはその通りだと思います。

この後、関西の現在の美術館、滋賀の情報などについて参加者からも様々な意見が出ていました。

ご参加いただいた方々、講師の小吹さんに厚く御礼申し上げます。

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2018年9月28日 (金)

2018年9月1日(土) eitoeiko 種をまく人 五箇公一氏 講演レポート

2018年9月1日(土) 神楽坂にあるギャラリー eitoeiko さん で開催した安田早苗個展「種をまく人」
オープニングイベントを行いました。

 

ゲストは国立環境研究所の五箇公一先生です。
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国立環境研究所HPの講師依頼フォームに書き込み、
広報の方から対応可能と言っていただき、
講演開催に至りました。
安田も、直接お話したのは初めてです。

 

去年からヒアリ、今年になって池の水全部抜く番組などなど‥
で話題の「外来種」ですが、
安田が2001年〜2005年限定で滋賀・京都で実施した
種をまくプロジェクト でも、「ハーブの種は繁殖力が強いからまくのは良くない」などと言われ、
う〜ん100個ぐらいでビニール袋に入れてるし、
水に溶ける紙風船なのに‥
外来種をまくつもりでやった訳ではないのに

 

外来種について専門家に直接色々聞きたい!
と、思い開催の運びとなりました。

 

講演は、まず外来種を防除する目的は
可愛い、綺麗な動物を守るだけではない、
「生物多様性」を守るということから。

 

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遺伝子の多様性がなくなると、
環境の変化に対応できず、
全滅するリスクが多くなる。
多様な生物が生き残らなければ、
人間が残らないため、
人間のエゴで防除している。とのこと。

 

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現代の絶滅の速さは加速度的で、
生き物の生息域が脅かされている。
普段の日常生活も生息域を破壊しているそうです。

 

外来種とはAlien species=よそ者 で人の手で移動させたもの。
その例として‥
東大教授の渡瀬庄三郎博士が
ウシガエル、アメリカザリガニは
大正時代に食用で、
マングースはハブ撲滅目的で持ち込んだが、
時代とともに外来種の価値も変わってきている。

 

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アライグマは1970年代アニメーションの影響で飼いたい人が増えたが、
2週間もすると飼いきれなくなる獰猛な動物だったため、
逃す人が続出して増えた。
日本には狂犬病はないが、
原産国の北米では狂犬病のベクターとして
危険性が重視され、教育もされているそうです。

 

また、外来種は来るだけではなく、
海外にも出て行っていて、
日本の葛がグリーンモンスターと言われてはびこっている。
撹乱環境に適応した外来種がはびこり、
どこに行っても同じ景観になる。

 

他にも話題のヒアリのことや
カエルツボカビの話も。‥

 

身近な自然がどんどん置き換わっているのは、
グローバル化のつけが回ってきている、
人間社会の問題だということです。

 

クワガタムシの遺伝塩基配列を調べ、
500万年かけてできた亜種が
人間の手で動き、
遺伝子撹乱が起こるとの説明も。
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もともと五箇先生はダニ学者で、
その生態を調べたり遺伝配列を調べているうちに、
全ての生命体の遺伝子がいかに影響を及ぼしあっているか
また、ダニを含めて寄生生物や病原生物も
生態系のバランスを維持する上で
重要な役割を果たしている。
ということに気がつかれたようです。

 

最後は日本ではクワガタムシ、カブトムシ、コガネムシと
普通の人でも使い分けているのに対して
英国では「ビートル」の一言でくくっている
クワガタムシ(甲虫類)がいかに日本で人気があるか?
それは日本人は、里山という環境の中で、
自然を愛していく生活をしなければ
生き残る道はなかったからではないのか?
などなど。

 

 

五箇先生はあちこちで講演されているので、
ぜひ一度生で聞かれることをお勧めします。

 

種をまくプロジェクト記録映像上映(40分)
その後、五箇先生にあらかじめ用意した質問を。
1)以前から日本にいた外来生物が、2004年に規制されることになったのは何故なのですか?

 

2)2017年に、外来種あるいは危険生物が度々取り上げられたのは、何故なのですか?

 

3)外来種に滅ぼされた在来種にはどのようなものがあるのですか?

 

4)意図的に持ちこまれた外来種と、偶然持ち込まれた外来種について。

 

5)遺伝的撹乱とは何ですか、どうして問題なのですか?

 

6)日本で販売されている種を100個ぐらいビニール袋に入れて
風船につけて飛ばしました。どの程度影響があると思われますか?

 

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特に気になっていた
5)遺伝的撹乱
にも丁寧にお答えいただきました。

 

例えばニホンザルとアカゲザルとの混血の殺処分に
倫理観から反対の声があるとか、
トキは中国産個体との雑種で生き残らせる方策が採られたが、
日本産トキが死滅して、
現在は中国産トキを仕方なく
増やして放鳥している。とか。

 

遺伝子の固有性は地域環境によって育まれたもの。
進化の歴史的産物。
一度撹乱され、雑種化が進行すれば
元の固有性を取り戻すことは困難。

 

何が起こるのかわからない
ブラックボックスであるので
そこに置いておくのが最善である
という見解であるとか。

 

色々な意見があるけれど、
それも多様性なのであり、
客観的なデータに基づき、
コンセンサスを得るのが
大事であるとのことです。

 

6)については、
一般的に園芸品種が自然界で生き残るのは難しいが、
絶対ということはない。

 

学者の意見は斜めから聞いて、
セカンドオピニオンを置くことが重要である。
とのことです。

 

安田は、美も生命も
自己目的的で予測不可能であるところが
面白いなと思いました。

 

また、「種をまくプロジェクト」以前は
タブー(禁忌)をテーマにしたコンセプチュアルアート作品
制作していたのに急に変わった。

 

と言われることもありましたが、
画廊を飛び出すという挑戦をしたことで、
外来種というタブーにアクセスしてしまい、
ずっと、やっていることは変わらないな‥
などと、思っていました。

 

 

それにしても、
グローバル化と切り離せない外来種問題、
色々話も膨らみ、
考えさせられるところが
面白かったです。